桂乃徒然

文筆業 佐々木桂 公式ウェブサイト

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ライスカレーの哀しい想い出

   

子供の頃 、なんであんなんにライスカレーが楽しみだったのだろう。うちの場合、大概はパッパ(祖母)が作ってくれたライスカレー。もちろん市販のルーだ。僕が好きだったのはグリコワンタッチカレー甘口。パッケージが赤いやつ。いつか大人になったら黄色の辛口を食べるのが小さな夢だった。その夢が叶えられる年になる頃には、ライスカレーはカレーライスと呼ぶようになり、ルーの種類も増えたのでグリコワンタッチカレーは台所に登場することもなくなったが。

グリコワンタッチカレーに慣れた僕は、ある時パッパが作ったカレー粉と小麦粉のカレーを「マズイ」と拒否した覚えがある。僕が生まれた小さな村は、今と違って、カレールーをすぐに手に入れられる環境ではなかった。だから、カレーが食べたいと言った孫に、なんとかカレーを食べさせてあげようと、パッパは頑張ったのだ。あいにく肉もないから魚肉ソーセージ。魚肉ソーセージは僕の大好物だったから、きっとバッパは、孫が喜んでくれると思って作っていたはずだ。それがよもやの反応。孫に全否定されるのである。子供だったとはいえ、ヒドいよね。

でも、パッパは怒らなかったし、悲しんだ様子もなかった。確かに、今自分の子供に言われて腹が立つかと問われれば、可愛い子供のすることだから、まったく何とも思わない。だからたぶん、パッパもそれほど何とも思わなかったとは思う(たぶん可愛がられてたと思うから(笑))。

でも、僕自身が、当時子供の佐々木桂に腹が立つのだ。そしてやはり、パッパにはごめんなさいと、今思う。子供って、孫って、そんなものかもしれない。謝りたい時に、その人はもうこの世にいないのだ。

 

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