桂乃徒然

文筆業 佐々木桂 公式ウェブサイト

*

3月4日さきがけ新聞寄稿で書けなかった「僕の緊張」について

      2015/03/01

秋田の「さきがけ新聞」から、秋田県の公立高校を受験する中学生にエールを送る原稿を頼まれた。3月4日(水)付けの朝刊に掲載される「がんばれ秋田の受験生」がそれ。

秋田県では、3月5日が公立高校の受験日だそうで、その前日に受験生を応援する企画なんだそうだ。高校受験なんてもう30年近く前のことだから、エピソードって言われてもなかなか出てこないので、「緊張」について書いてみた。僕自身が今でも緊張しやすいタイプなので、きっと高校受験の時もだいぶ緊張したんじゃないかって思ったものだから。

受験の時の記憶はないが(これこそ、当時緊張していたに違いない証拠かと)、僕はとにかく人前で喋らなきゃとなると緊張する。ただ緊張しているだけなら、見ている人にはわからないと思うが、僕の場合は、悪いことに大量の汗を発生させる。しかも頭から集中的に出る。ヒドいときなど髪がびしょ濡れだ。

最近、時々頼まれる講演の時などはもちろんそうだ。でも、まだ講演はお客さんとの距離が遠いからいい。それがいくぶん僕をリラックスさせるのだろう、頭は真っ白にはなるがずぶ濡れにはならずに済んでいる。

問題は取材だ。

取材というと一対一だと思われるかもしれないが、芸能人や著名人、有名企業の社長クラスになると、おつきの方々が大勢いる。本人が何かマズいことを言わないようにチェックするためなのだが、この「その他大勢」に僕は緊張するのである。ちなみにそういう時にはたいてい同行するカメラマンとかがいるのだが、これも初めての人だとダメ。そのカメラマンにさえ緊張するのだからタチが悪い。

どんな有名人であっても、その本人に緊張するということは今まで一度もなかった。しいて言うなら、会話が弾まないときに、頂いた持ち時間をどう消化しようかと焦るぐらいだ。よっぽどのロングインタビューでもない限り、取材時間は10分もあればいい。1時間ももらうと、他に何を聞きゃいいんだ!となる。

ちょっと話はそれるが、有名人(特に俳優や女優などの芸能人)のインタビューで、最も困るのは、ニコニコ笑顔で愛想がいいのに、質問に対する答えに広がりのない人。答えが「はい」「ええ、そうですね」「○○です」。これが困る。相手が喋っている間に次のトーク(準備していった質問以外の)を考えようとしているのに、これでは考えられない。愛想はとってもいいもんだから、周りで聞いている例の「その他大勢」はきっと、「会話が盛り上がらないのはインタビュアーのせいではないか」思っているに違いない。そう思ったまた汗である。

むしろ、無口な人、気むずかしい人の方がまだいい。周りも承知しているからこっちも安心してインタビューできるし、何より無口な人、気むずかしい人なら、何とか話させてやろう、笑わせてやろう、盛り上げてやろうと、こっちも戦闘態勢に入れるからだ。それで盛り上がれたら、「ヨシ!勝った!」となる。

話を戻そう。

僕の緊張の原因は、「誰かに見られている」ということにある。注目されるのが原因なのである。かといって、注目されるのは嫌いではない。物書きにしては出たがりだと思う。でも、緊張するのだ。取材だったら、僕がインタビューしているのをじっと聞いている「その他大勢」に緊張する。講演会は、ちょっと脇道にそれて笑いを取りにいった時に、笑わずじっとこちらを向いている観衆に緊張する。おそらくきっと、みんなそんなには注目していないはずなのに、「自分がよく見られたい」という気持ちがある僕は、みんなが僕を見ている!との強迫観念に駆られて緊張するのである。(まあ一種の自意識過剰である)。

そんでもって、汗なんか出てきて、インタビュー相手に「大丈夫ですか、部屋の温度を下げましょう」なんて言われたらもうアウト。さらにどっと汗が出る。

しかし、それもこれも自分である。一生付き合って行かなければならない。そう思うようになって、少し改善した。もう出だしはしょうがないと思うことにしたのだ。目の前が真っ暗になって汗が出始めたら、もうすべてやめる。講演なら世間話をしなからお茶を濁し、取材なら相手の話を聞いているふり、メモをとってるふり。そうやって、最初の5分ぐらいは、何もせずにやり過ごす。そう開き直ると、以外に早く緊張は解ける。緊張が終わるといつも以上のパフォーマンスが出るというのも、経験上わかっているので、あとは一気呵成にパワーアップして話し始めればいい。まあでも「その他大勢」はいない方がいいのだが(笑)。

で、そんなような「緊張なんて長くは続かないんだから大丈夫だよ」って話を、さきがけ新聞では受験生用にアレンジして書いたわけだ。誌面の都合上、文章量も少なかったから、こんなには書けなかったんで、その時に思い出したことを、ここに吐き出してみたと言うわけだ。読んでくれたみなさん、すみません。長くなっちゃって。

 - 日々の徒然

Comment

  1. かつし より:

    久しぶりだ~!元気そうで。
    今日、おらえの娘、学校(湯沢北中)の担任から「僕の緊張」のコピーもらってきて読んでだよ!(一年前のものだのも)。おらえの娘も受験生になってしまってピリピリ!、イライラ!!。桂の母校狙ってらど。うがればいいけどね。
    たまに見でるけど、おが飲みすぎねよ~に。ええ年なんだがら。。。

  2. 佐々木桂 より:

    >かつしさん

    もしかして、合居の勝司?
    ずいぶん久しぶりだな。
    今、湯沢さ居るんだぁ?
    娘さんはもう受験終わったが?
    緊張しねで、でぎだったべが。
    後輩になってほしな。
    酒っこは、年考えで飲んでらよ。そんたに飲めねぐなったしな(笑)。
    今度帰ったら飲むべし。
    娘さんによろしく〜
    結果はわがったの?
    合格してるごどを祈ってます

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

わがまま王子は世間知らずなだけ?

わがままだった王子がいました あまりに自分本位で意地悪なので 魔女が懲らしめるた …

日々の徒然
最低最悪の日 by園児

「明日は最低最悪の日」と園児の娘が言う。 園が始まるからだとのこと。「イヤ」とか …

日詩 2月21日〜28日(2018)

日詩のまとめです。 日詩(ツイッター詩まとめ) 2月11日〜28日 例えばこんな …

三が日は箱根駅伝

うちの親父は、高校の頃長距離選手だったらしく、その思い出もあってか、正月はずっと …

宇崎竜童さんと誕生日が一緒

 以前、宇崎竜童さんのインタビューをした旨の話を書きましたが、実は僕、誕生日が一 …

絵本『みえるとかみえないとか』

講師をやっている『よみうりカルチャー町田』のエッセイ教室の生徒さんが、題材として …

『日詩』のまとめ4月21日〜30日分アップしました

日誌ならぬ『日詩』続けております。 よろしければ 『詩郷 うたざと』にて htt …

新聞スクラップシリーズ“自転車の三角乗り”

これも去年の新聞。 おそらく今の若い人は知らないだろうなぁ。 自転車の三角乗り。 …

日々の徒然
こんな夢を見ました

夢を見た。 家(たぶん実家)の屋根に穴が空いたのか雨漏りがする。昔風に、とりあえ …

日々の徒然
30年前のアメリカ紀行備忘録20

 去年(2019年)の1月から、またまたご無沙汰だった「30年前のアメリカ紀行」 …