桂乃徒然

文筆業 佐々木桂 公式ウェブサイト

*

『談志の落語』(静山社文庫)

      2020/02/16

 新聞に立川談春さんの記事が載っていた。師匠である故・立川談志は、二人目の父であると。

 そこで立川談志さんの事を考えてみた。
 1936年生まれだというから、生きていれば84歳ぐらい。ウチの父母が1935年生まれだから、ほぼ同い年だ。それにしては、生前の談志さんは若かった…イメージがある。今もし生きていれば、相当な老いぼれに感じたかもしれないが、当時のパワフルなイメージがあるから、どうしても若々しく感じてしまう。
 しかし、僕は談志さんはそれほど好きではなかった。笑点の司会をやっていたのをリアルタイムで知っている最後の世代なのだが、僕は、その後の三波伸介さんの方が好きだったし、政界に出たりするのも、落語家としてはどうなのか?なんて思っていた。協会を辞めて立川流を立ち上げた時もしかり。本流に残って勝負するべきだ!なんて思っていた。ひねくれ者がひねくれた考えを現実化するたびに、パフォーマンスのように見えてしかたなかったのだ。もしかしたら、談志さんの生き方に嫉妬していたのかもしれないが。
 また、落語に関しても、大して知っているわけでもないのに、談志よりテレビでおもしろおかしく話す林家三平や柳家金語楼の方が面白い!と思っていた。乱暴な物言いや、斜に構えてひねくれているように見える笑いが好きじゃなかったのだろう。まあ、子供だったということである。漫才ブームの頃、ツービートよりザ・ぼんちが好きだったのも同じ理由だと思われる。
 その後、たけしさんを取材したことで好きになるわけであるから、きっと談志さんも密着取材でもしていたら大好きになったのかもしれない。いやいや、きっとたけしさんと違って、もっと根もひねくれ者かもわからんが。ただ、きっと天才だったのは本当だと思う。ただ、あまりにみんなが天才だ天才だと騒ぐので、昔は鼻白んでいただけだろう。
 で、談志さんがなくなってから、こんな本に出会った。『談志の落語』。全7巻。出版社は、意外にもハリー・ポッターで一財産を築いた静山社。
 談志さん独特の解釈は、極めて談志流なので、もしかしたら落語初心者には向かないのかもしれないが、談志山の落語愛が至るところで感じられる落語本だ。しかも博学。その博学も大好きな落語のために学んだかのようだ。そんなことをいうと、談志は照れてひねくれ、違うことを言い出すのだろうが。
 談春さんの記事がきっかけとなって、本棚から取り出してみた『談志の落語』。もう一度、読んでみるか。

 - 2020年, 日々の徒然

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

やはり毛ガニ

人によって違うだろうが、僕の場合、正月といえばカニである。 なんとなく、カニを食 …

護美箱(ごみばこ)と書きたい

秋田の新聞『秋田魁新報』に連載中の『遠い風近い風』というエッセイに、昔、こんなも …

穴八幡

穴八幡に行って来た。 ウィキペディアには歴史やら由来やら、ありがたみのあることが …

東成瀬村の“くん炭”

昨日届いた『広報ひがしなるせ』に“くん炭”という文字を見た。くん炭?何だろう?と …

年取ったら部屋を貸してくれないんだと

朝日新聞に、こんな記事があった。 年寄りには部屋を貸さない大家が多いんだとか。 …

正月早々、よみうりランド

何の因果か、この寒いのに、よみうりランドである。 いや、いいんですよ、いいんです …

『傷だらけの天使』が哀しい

傷だらけの天使第6話は まさに貧乏人の哀しさ ラストシーンは 蟹工船の読後の気分

がんばれバレンタインデー

 昔ほど、バレンタインデーが盛り上がってないような気がするのは、気のせいだろうか …

『日詩』8月11日〜20日のおまとめ

実家の秋田ではお盆も終わり、そろそろ秋が見えてきそうな気配でしょうか? 東京はま …

日詩 10月21日〜31日

日詩のまとめです。 日詩(ツイッター詩) 10月21日〜31日 こんな詩も… 悪 …