『日詩』6月11日〜21日のおまとめ
日詩 6月11日
梅雨の間(ま)の晴天
このまま明けて夏となれ
この叶わぬ願い
一度や二度の気晴らしで
曇った心の靄(もや)が
振り払えないのに似ている
日詩 6月12日
右手に缶ビール
左手に幼子の手
澄んだ青空も気持ち良く
川沿いに造られた
郊外の街を歩く
最先端の商業施設と
適度に残された自然
そのアンバランスさが心地いい
ビルの谷間の広場では
その日限りのフェスが
その賑(にぎ)わいに吹く川風に
幼子の長い髪が
気持ち良さそうに揺れている
日詩 6月13日
来たぞ来たぞ
雨が来たぞ
梅雨だというのに
らしくないここ数日の晴れ間
浮かれる人間たちの
目を覚ます嵐雨
日詩 6月14日
この空の色を
何色と呼んだらいいのだろう
山の色を
川の色を
海の色を
何色と呼んだらいいのだろう
青?緑?水色?エメラルドグリーン?
色を表すどの言葉も
この目が捉えた
揺さぶられる色彩の前では
すべて陳腐だ
今朝の空は、
そんな色彩(いろ)
日詩 6月15日
傘を買おう
心が折れる雨の日のために
激しい雨にも折れない傘を
滅入る気持ちを癒してくれる傘を
心細い雨の日のために
お気に入りの傘を買おう
日詩 6月16日
我慢を重ね努力を重ね
それを見せない日々を重ね
頂きを極めるたびに
孤独は深まるばかり
孤独を愛せる者などいない
孤独に克てる者などいない
ただ一人耐えるのみ
日詩 6月17日
帰ると居間の絨毯に
なにやら二つの物体が
大小おんなじかっこでゴロリ
右へゴロンタ左へゴロンタ
大小おんなじかっこでゴロンタ
こちらに気づくとムクリと顔上げ
こちらもムクリあちらもムクリ
大小おんなじかっこでムクリ
母子二つの物体が
大小おんなじかっこでニコリ
ただいま
日詩 6月18日
もみじの指が
一本一本弾く
ピアノの音色は
一生懸命に部屋を渡る
真剣な眼差しから生まれた
一つ一つの音符の赤ちゃんは
あっちこっちに飛びながら
明るい声を張り上げて
部屋中に笑顔を響かせる
日詩 6月19日
あじさいは梅雨の花だという
アジサイには雨が似合うという
梅雨の晴れ間のあじさい寺に
こんもり咲き乱れる
青紫のアジサイ
青空に映え太陽に笑う
この紫の花が好きなのは
雨よりもきっと陽の光
だからあじさいはアジサイより紫陽花がいい
日詩 6月20日
埃にまみれて働くことと
誇りにまみれて働くことは
似て非なるものか
埃にまみれて働くことは
誇りにまみれて働くことだ
関連記事
-
-
『お母さん』ではダメなの?
ちょっと前にこんな新聞の記事があった。 うーんと考え込んでしまったので、やっと今 …
-
-
30年前のアメリカ紀行備忘録20
去年(2019年)の1月から、またまたご無沙汰だった「30年前のアメリカ紀行」 …
-
-
親父が豆まき解禁
84歳になる両親が、今年は冬の秋田を逃れ東京に来ている。「もう、雪はうんざり」 …
-
-
日詩 9月1日〜10日(2018)
日詩のまとめです。 日詩(ツイッター詩) 9月1日〜10日 例えばこんな詩が… …
-
-
成人式は15日じゃないとしっくりこない昭和人
今日、1月8日は成人式。街でいろんな振り袖を見かけたが、実は、その振り袖を見なけ …
-
-
林家たい平師匠
林家たい平さんを取材して来ました。笑点などのテレビで見る印象とはちょっと違って、 …
-
-
連載もろもろ
今発売中の週刊朝日は、連載「美し国旨し米」の2回目です。見かけたら読んでやって下 …
-
-
日詩 11月1日〜10日(2018)
日詩のまとめです。 日詩(ツイッター詩) 11月1日〜10日 こんな詩も… キリ …
-
-
あら?豊島園、閉園なの?
去年の夏、朝一でプールに行って、ナイトプールまで楽しんで帰ったのに、まさかの閉 …
-
-
長靴を履こう!
たまたま雪が降った日にふと思った。 長靴はいつからカッコ悪いものになったのか。ブ …
- PREV
- ニッポンのお花「あじさい」
- NEXT
- 『日詩』6月21日〜30日のおまとめ