奈良の住宅地に牧場!明治創業の宮内庁御用達の牛乳
2014/09/14
植村牧場というのを取材しまして、ちょっと感動したのでご紹介。
明治17年創業の歴史あるこの牧場は、蒸し暑い奈良の夏を牛たちが快適に過ごすためにと作られた、昔ながらのの木造瓦葺き屋根の牛舎をまだ大事に使っています。もちろん、ところどころを見ると、修復がされていますが、できるだけ昔の自然のままで乳牛を育て、おいしい自然の牛乳を搾りたい、建て直さないでいるとのことでした。
住宅街での悩みの種である牧場の臭いも、膨大なおが屑を敷き詰めることで解消。牛糞は天日乾燥させ近くの農家に肥料として無料でお分けしています。そのお礼として、農家の方々が好意で野菜を届けてくれるため、牛たちの食べるエサは、日によってキャベツが多かったりホウレンソウが多かったり…。その日のエサによってできる牛乳も微妙に味も違うんだとか。でもこれも既製の飼料で育つ牛とは違う、自然の乳牛だからこその味わい。毎日家に届けてもらう近隣のお客さんは、それも楽しみの一つとしているとか。ちなみに、皇族の方々が奈良に宿泊の際には、必ずここから牛乳が届けられる「宮内庁御用達」の牛乳としても知られています。
そこまでの牛乳が作られるのは、近年の牧場の流行である機械化に逆行するように、給餌、搾乳、殺菌、瓶洗浄、瓶詰め等々の作業を、全部手作業でやっているから。
「小さいからできる」とは言うものの、さすがに家族だけでは限界がある。そこでアルバイトを雇うようになったのですが、仕事のキツさにみんな長続きせず困っていたところ、職業安定所から「養護学校の卒業生を雇わないか」とのお誘い。
試しに雇ってみると、「一つのことを教えるのは何ヶ月もかかって、そりゃあ大変でした。でも、一度覚えると、健常者以上にきっちりやってくれる。これはスゴい!と思いました」と四代目の黒瀬礼子さん。
その後、少しずつ人員を増やしていくうちに、それぞれに得意な能力があることがわかり、適材適所に配置。「今ではみんな牧場にはなくてはならない存在になっています」とのこと。
今年はそんな活動が認められて、農林水産省より「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」の一つに選ばれました。
認められた活動名称は「日本一遅れた牧場と奈良の名物アイス」。
それに対して農林水産省は、「障害者を雇用して機械化をすることなく殆どが手作業で酪農を営んでおり、その新鮮な牛乳で大和の野菜や果物を使ったアイス等の商品開発の取り組み」が素晴らしいと評価したということです。
http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/kouryu/140513.html
場所は、聖徳太子ゆかりの、コスモスで有名な「般若寺」の真向かい。奈良を旅する際には、ぜひ一度足を向けて欲しい場所です。
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